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病室に戻ると、孝之は
何事もなかったかのように
私の姿を見て嬉しそうに
微笑んだ。
「紗枝、手術は成功したよ。
あとは複雑骨折してる部分が
治ったらリハビリだって」
「うん…あの孝之…」
言いかけた私の言葉を
孝之が遮る。
「あ、そう言えば週末に
亜希が会いに来てくれるから
紗枝も会ってやってくれる?」
「あ…うん」
「本庄駅まで電車で来るから
悪いんだけど迎えに行ってあげて」
「うん分かった」
私の返事に孝之は満足そうに
頷くと瞼を伏せた。
「紗枝ゴメン。
ちょっと俺も疲れた。
今日はもう寝るから
紗枝も疲れてるだろうし
家に帰ってゆっくり休んで。
…だけど毎日ここに来て
俺の傍にいてくれよな」
その言葉から伝わってくるのは
聖の事を認めた訳じゃ
ないという現実だけだった。
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