分身

6/23
前へ
/40ページ
次へ
それから私は仕事を探しつつ 毎日孝之の傍にいるために 病院へと通った。 ずっと彼の傍にいると 私の知らない孝之が たくさんあった事に 気付かされる。 無線仲間や近くの運送会社の 運転手仲間とか、 毎日毎日たくさんの人が 孝之を心配してお見舞いに 来てくれた。 その一人一人に 私を「俺の奥さん」と 紹介する孝之。 一緒に働いていた時も 思っていた事だけど、 彼はとても人当たりが良くて だけど仕事も妥協しないだけに 厚い信頼を得ていて 来る人全てが口を揃えて言う。 「奥さん、こんなモテ男が 旦那さんだと、心配でしょう?」 苦笑いする私に、 「そんなモテてねーよ」なんて 孝之は笑って言うけど 実際孝之はモテるのだ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2215人が本棚に入れています
本棚に追加