第6話 ドラゴン退治

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「『初紋字(ファーストスキル)』」  宙でそう唱えて刃の身体は思いっきり龍堂へタックル。 「グッ!?」 「『(ばく)』!」  タックルで吹き飛んだ龍堂に刃は持っていた剣を龍堂に向けて振り抜いた。  そこから爆風が生まれ、龍堂へまっすぐ向かっていく。 「『(グリップ)』!」  龍堂が握る動作をすると、刃の『爆』で生まれた爆風がその進行を止める。 「げっ!? マジで!?」 「……お返しだ!」  握った手を払うと、止まっていた爆風が刃に向きを変えて襲いかかる。 「刃!!」  爆風に巻き込まれる刃の身体。思わず光は声を荒らげる。 「(さて、今のうちに体勢を──)」 「先輩」  左方向に移動しようと龍堂が一瞬だけ目を離した時、そんな声が聞こえて爆風にもう一度目線を戻すと、 「──目を離さないでくださいよっ!」  火野刃がボロボロになりながらも、その爆風を切り裂いて中から姿を現す。 「!!? 『グリ──」 「おらぁ!!!」  龍堂が紋字を発動するよりも早く、刃の振り抜いた一撃は龍堂の身体を捕らえる。龍堂の身体は大きく後方に飛んだ。 「会長!? 『(アロー)』!」 「うおっと!」  成宮の『矢』が飛んできて刃は慌てて回避する。これ以上の深追い危険だが、十分に攻撃は加えることができた。 「あんたにしちゃ上出来よ」 「お褒めに与り光栄ですよ、お姫さま」 「貴様ら……」  一旦距離を取られてしまったが、これではっきりしたことがある。 「やっぱり、流斗の考えは間違ってなかったみたいね」 「あぁ」  龍堂翼は、接近戦に弱い。それが流斗が導きだした彼の攻略法。  過去の試合をみても、龍堂が自分の身体に相手を近寄らせる試合はなかった。いつも中距離をキープし、遠距離から相手を『掴んで』対応している。  その事から、流斗は『龍堂翼は極端に接近戦が苦手ではないか』という仮説をたてた。近づきすれば相手を『掴』む前に反撃されるのではないかと。  そしてその仮説は、ほぼ間違っていなかったらしい。
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