第4話 もうひとつの戦い

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 参加者全員が所定の位置につき、準備が整う。  投げる順番は画面の通り、最初は京香とかなめのペア。 「ちなみに、相手に響く言葉というのは、なにも感動させるだけじゃない。動揺させたり、怖がらせたり、困らせたり、恥ずかしがらせたりすることも有効だ。そして同じ言葉は同じゲーム中には二度は使えない。それも覚えておいてくれ。じゃあそろそろ始めるか。2人とも前へ」  流斗の最後の説明が終わると、2人が促されて前に出る。 「では、しっかりやれよ」 「わかってますわ」  かなめがピン役、京香が投げる役。しっかりコンタクトを交わし、かなめはピン役の立つ場所に移動した。 「さて、お手並み拝見ね」 「だな」  ギャラリーと参加しない組は端に移動して観戦。刃と光もその様子を固唾を飲んで見守る。  なにせこの1球は、このゲームの流れを全て決める1球と言っても過言ではない。 「いきます」  京香が構え、そして投げるモーションをして叫んだ。 「お前が……欲しい!」 『…………』  超おそーく球が画面を転がっていく。今にもガーターにいきそうだ。まずい、これはまずい。全く響いていない。 「お、お前はバカか!? お前にそんな台詞を言われても私に響くわけが──」 「と翔矢様に言われた!」 「ハウッ!」 『カコーン! ストライーク!』  恐ろしい曲がり方とスピードを加速させた球がピンの真ん中を貫いて、全てのピンをなぎ倒した。
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