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「ちょ、ちょっとあんなのあり!?」
「別にルールには違反してないしな。これも相手を知っていてこそだ」
光の抗議になんでもないことのように答える流斗。
初手からストライク。これは厳しい戦いが予想される。なぜなら、これで基準はストライクになってしまったからだ。それ以外では置いていかれるばかり。
「ほーやるやんけ」
「「しょ、翔矢様!?」」
翔矢の称賛の一声に、京香と倒れていたかなめも立ち上がって背筋を伸ばす。
最初から上がったハードルに、翔矢はむしろ嬉しそうに笑った。
「けど、ワイらやって負けとらへんわ。凪ちゃん、行こか」
「あぁ」
今度は凪がピン役、翔矢が投げる役のようだ。用意を終えてそれぞれが所定の位置につく。
「さて、いつでも来い翔矢。私はお前の全てを受け止めよう!」
『おいおい、あれが翔矢の彼女か』
『すっげぇ美人じゃん……誰だよブサイクなんて言ったの』
『てか、あの子どこ高だ? 見たことないんだが』
周りは噂の翔矢の彼女が出てきたことで一層の盛り上がり。でも意外なのは、周りが凪のことを特待生と認識していないことだった。
普段は無限や雲泉姉妹のように色の入った羽織を着るのが特待生の証。しかし今日の凪はそれを着ておらず、それが原因のようだ。
「いくでぇ!」
そして翔矢はその凪へ向けて球を投げ、一言呟いた。
「ワイの彼女になってくれて、ありがとうなー!」
『ガハァ!!!』
『カコーン! ストライーク!』
翔矢の放った球は豪速球のごとく真っ直ぐピンの真ん中へ向かい、全てを薙ぎ倒した。
「さ、さすがは翔矢様だ……まさか我々KSSが言って欲しい言葉第3位をこうも簡単に言ってのけるとは……!(ドクドクドク)」
「さすがですわ……翔矢、様!(ドクドクドク)」
「そ、そうだろう、さすがは私が見込んだ男……(ドクドクドク)」
そして同じように鼻血を流して倒れ混むかなめと京香、そして凪。辺りの女子も巻き込んで大ダメージのようだ。
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