第4話 もうひとつの戦い

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「安心なさい、カナ。貴女の分まで私が目立って差し上げます。行きますわよ和真、ポッピー!」 『ヘイヘイ、我が儘なお嬢様だぜ』  次に控えるはヒラヒラのピンク色のドレスに身を包んだお嬢様、花星麗香(はなぼし れいか)と、先程から肩からぶら下げたパソコンへしか視線を送らない眼鏡男子、神宮和真(じんぐう かずま)のコンビ。辺りは興味津々で2人へ視線を送る。  と言うのも、この2人は一方は本物の大企業の御令嬢、もう一方はアニメオタクの男子。端から見てもアンバランス。違う世界で生きる人間のように思う。  果たしてその2人がどんなコンビネーションを生み出すのか。 『でもよぉ麗香様ぁ。こいつの心を動かすなんて正直かなりきついぜ? 大丈夫かぁ?』 「ふん、当然ですわ。それに、和真の好みは熟知していますから安心なさい」 「……ほぅ」  そこで滅多に口を利かない和真自身が口を開いた。視線は相変わらずパソコンへ向いたままだが。 「……なら、そのお手前、見せてもらおう」 「えぇ。私に萌えることを許可してあげますから、せいぜい悶えると良いですわ」  問答を終えると、麗香と和真はお互いに所定の位置につく。どうやら麗香には相当の自信があるように見える。 「(フッフッフ、和真。貴方の好みなど簡単ですのよ!)」  ニヤリと口角を上げて腕をスイング。その1球を放つ。 「とっとと這いつくばりなさい、この犬がぁ!」 『なっ!?』  辺りは騒然。お嬢様キャラの麗香が、思い切り罵倒の言葉を浴びせてきた。 「(どうです和真! こういうのが好きというのはリサーチ済み! こんなの簡単なゲームじゃ──)」  と、そこまで考えて画面の表示を見る。  そこには、ガーターと書かれていた。 「……は? え? ど、どういうことですのこれ!?」  麗香にとっては想定外。まさか1ピンすら倒れないとは思わなかったのだ。ピンはきれいに直立している。
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