第4話 もうひとつの戦い

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「ちょ、ちょっと和真! これはいったいどういうことですの!?」 「……麗香」  混乱する麗香が和真に問いかけると、和真は静かに一言。 「……お前は、萌えを嘗めすぎだ」  その声は、少し震えていて。 「……へ?」 「お前、あんなテンプレ発言だけで萌えが取れると思ったら大間違いなんだよっ! 」 「え、え、え!?」  いつもは喋りすらしない和真が激昂する姿に、麗香ですら口出しすることができない。 「いいか、確かにお前は生まれながらにしてハーフの金髪でお嬢様で傍若無人な性格! まさにその台詞はよく似合う! いや、お前以上に現実でその言葉が似合うやつはいないと断言できる!」 「だ、だったらなんで……!」 「……じゃあお前は、その台詞を言うときに、ちゃんとそのシチュエーションを考えたのか?」 「はい?」  そこにいるほとんどの人間の思考を置き去りにしたまま、和真は語り続ける。 「その台詞を言うシチュエーションを想像してその言葉を発したかと聞いてるんだよ。お前はこう思って発言したんじゃないか? 『男はこうでもいっておけば楽勝だ』と」  ギクリ、と麗香は図星を突かれ、その言葉に反論しないことを肯定と取った和真は麗香に向けて指を突きつけて。 「覚えておけ麗香。心ない台詞に、萌えは生まれない」
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