第4話 もうひとつの戦い

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「そ、そんな……この私が……慢心したとでも……!」  そのまま膝をついて倒れ込む麗香。それほど衝撃的なことではないだろうとツッコんでやった方が懸命だろうか。 「……いい。いいんだ麗香」 「……和真」  落ち込んだ麗香に歩み寄って肩に手を置く和真。その顔は慈愛の眼差しで麗香を見つめていた。 「大丈夫。お前は今からでも変われる。さぁ、一緒に見せてやろうぜ。周りのやつらに、次はお前の最高の一撃(萌え)をプレゼントしてやるんだ。俺も協力する」 「か、和真……!」  一見感動の場面みたいなのに、そんなものを一切感じないのはなぜだろうか。  いや、理由はわかりきってるのだが。 「……まったく、なぜ私たちがこんな遊びに付き合わねばならないのでしょうか」 「でも、私は楽しいですわ、お姉様」 「……ま、まぁルチルが楽しんでいるならいいのですけど」  その様子を呆れ顔で見る者と面白そうに見る者。表情は違えど顔は瓜二つ。違いといえば髪の分け目が右か左かという程度だ。  彼女らは双子の"特待生"、雲仙マリルとルチル。姉マリルの感情を妹ルチルがうまくコントロールする。それがいつもの彼女たちの関係。 「ではいきましょうか、立夏さん」 「は、はひぃ!」  悠然と歩くルチルと、両手両足が同時に出ているというなかなかに珍しいことをやってのける立夏。これが1フレームの最後となる。  メットを被るのはルチル、そして玉を投げるのは立夏。誰が見ても結果は明らか。 「る、ルチルさんの心を動かすなんてとても……」 「構える必要はありません、立夏さんはいつも通りで良いんです」  この余裕の笑顔。あの冷静沈着なルチルの心はそう簡単には動かせそうにはなかった。 「そうですね……素直に感謝とか、相手の良かったところを誉めてみてはいかがですか? 私だって少しは心が動くかも知れませんよ?」 「わ、わかりました!」  ルチルの忠告を素直に聞く立夏は、さながら母親のいうことを素直に聞く子どものようだ。
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