第4話 もうひとつの戦い

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「バカ京香! アホ! 大馬鹿やろう!」  かなめは人目のつかない校舎裏に着くなり大声で地団駄を踏む。  全くわかっていない。京香は誰のために今の状況を作っているのか、全く理解していない。 「……私が、どれだけやってやってると……」  次第に地団駄する足の力もなくなり、全身が力なく項垂れる。  誰も理解してくれない。いや、理解されたいなんて思ってこなかった自分が悪い。それはわかっている。  でも、こんなのあんまりじゃないか。誰かのために動いているのに、何一つ報われないというのは。  自身もそれを覚悟で、ここまでやってきたはずなのに。 「……本当に、バカだな。私は」 『いやいや、それは違うよお嬢さん。やつらは本当に大馬鹿さんだネ』 「……え?」  かなめが辺りを見渡すが、誰もいない。でも、今確かに声が聞こえたような……。 『誰も君の頑張りをわかっちゃいない。君の素晴らしさをわかっていない。そんなのあんまりじゃないカ』 「……え? え?」  確かに聞こえる、誰かの声。頭に直接届いてるような、甲高く、それでいてどこかで低い声が混ざる。  まるでいろんな声が混じって1つの声になっているようだった。 『でも大丈夫だよ、僕は君を見捨てたりしない、あんなやつらとは違う。君の願いを叶えるよヨ』 「ちょ、ちょっと待って! あなたはいったい──」 『大丈夫、怖がらなくてもいいんだ。ただ少し』 『君ノ身体ト心ヲ、貸シテクレレバイイ』 「い、嫌──」  かなめが最後に見たのは、黒い霧に視界が奪われる瞬間。そして、 「きょ、京……香……!」  思わず呼んだ、友の名前。
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