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「……やっと見つけましたわよ、かなめ」
校舎裏で佇むかなめを見つけて、京香は胸を撫で下ろす。
「まったく、あなたはどうしてこう、昔から1人で突っ走るんですの。もう少し周りを見て──」
「……なぁ、京香」
「なんですの?」
振り替えってゆっくりこちらへ歩みを進めるかなめ。
変だ。京香は唐突にそう感じた。何か様子がおかしい。
「……お前はいつもそうだな。私が欲しいものをお前はいつも持っていた。だから私はお前に憧れた。お前みたいになりたいと、いつも願った」
「か、かなめ? あなた、何を言ってますの?」
京香は思わずゆっくり後退りして距離をとるが、かなめの歩み寄ってくるスピードの方が早い。
「でも、私はお前にはなれなかった。だから、お前には私が憧れる姿であってほしかった。どんなときでも完璧で、美しくて、目指す理想の女だ。だから、お前に好きな人ができたとき、その人とくっつけばいいと思った」
「……!」
気づけば京香の背には校舎の壁。逃げ道は塞がっている。
「でもダメなんだ。失恋とか、お前じゃない。お前は失恋なんてしちゃいけないんだ。お前は私の理想。私の目指すべき完成像。そのお前が完璧じゃなくなるなんて、ダメなんだよ」
「か、かなめ……あなた、どうしましたの? 変ですわよ」
「だからね、私考えたんだ。どうしたらいいのかって。どうしたら、完璧なあなたを守れるかって。そうしたらね、簡単だった」
「かな──」
顔をあげてニッコリと笑顔を見せたかなめ。そして、
「完璧なあなたのまま、殺せばいいんだって♪」
「……え?」
刹那、宙に鮮血が舞った。
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