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ならば、ここを畳み掛ける以外に選択肢がない。
光と刃は一回目を合わせ、もう一度龍堂に距離を詰めにかかる。
「2度も同じ手を食うか」
「ごめん皆、せっかく作ってくれたドレスだけど」
光の着る赤の色調のドレスは足元までスカートが降りているため、ものすごく動きづらい。
「今は邪魔っ!!!」
だから、光は太股から下辺りのスカートを引き裂いて動きやすくする。
すべてを隠していたスカートの下から現れたのは、真っ白でスレンダーな美脚。間違えればその上すら見えてしまいそうな短さに。
『!!!?』
それには龍堂や成宮だけではない。一瞬、刃たちも度肝を抜かれる。
「『激』!」
そんな周りを置き去りに、光はすぐさま『激』で身体強化。反応が遅れた龍堂にまっすぐ向かう。
「っ!?」
「はぁっ!!!」
接近戦において、光ほど自信を持っているものはこの場にいなかった。
中学時代の柔道大会では3年間無敗の記録を叩きだし、今もなお鍛練を怠らない。
対して龍堂はI'temの能力こそ強力だが、それ以外は普通の人である。
だから反応が遅れれば、それが命取りになることを光はわかっていた。
「(──とった!)」
光はとうとう龍堂の襟をとった。これなら光の得意技のどれにもすぐに移行できる。
これで、終わり──
「『弾』!」
そう龍堂が叫んだ瞬間、光の掴んでいた手が弾かれる。
「なっ!?」
その時に光は見た。龍堂の指にあった指輪の数が増えたのを。
さっきまでは人差し指と親指に1個ずつ着いていた指輪が、今は両手の中指にも装着されている。
そして中指を親指で押さえて弾きながら紋字を使った。
ここまでも、流斗が考えていた通りだ。
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