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「(おい光!? お前なに適当なこと言ってんだよ!?)」
「(だ、だって……藍の悲しそうな顔見たら……つい)」
「(気持ちわからなくもないけどさぁ!)」
『ねぇねぇパパママ! さっきのほんと!?』
走り寄ってきてキラキラ瞳を輝かせる藍。その顔を見たらもう腹をくくるしかなかった。
もう一度アイコンタクトを交わし、2人で藍に向き直って言う。
「「本当だ(よ)」」
『やったー!』
こっぱずかしいなんてものではない。しかし、これも藍を悲しませないため。
言ってから光の方をチラッと見てみると、
「……!?」
ばっちり目線があって、慌ててお互いに目を逸らした。顔が熱い、やばい。これはやばい。
対する藍は無邪気に続ける。
『いつするの!?』
──こうきたか畜生!? 刃と光は俯いたまま応えることが出来ない。いったい、いったいどうすればと頭をフル回転させる。
そして、1つの答えを導き出す。
「(光、俺に任せろ!)」
「(……刃? あんた……ほんとに藍を納得させる答えを……!?)」
──わかった、任せるわと光から許可をもらった。あとは藍に答えるだけだ。
刃は少し照れながらも、藍に答える。
「……2年後……かな?」
「近ぁッ!!!?」
今度は光が驚く番だった。
「(ちょっとこっち来なさい!)」
「いだだだだ!!」
耳を持って引きずるように刃を部屋の隅へ。
「(あんたバカなの!? なんでそんな近未来に私とあんたがそんな……あんな……け、結婚とか、しなきゃいけないわけ!?)」
「(だ、だって俺ら16で結婚できるのは18からだからじゃないか!)」
「(だからってなんで最速でゴールインする道を描くのよ!? そんな必要どこにもないでしょ!?)」
「( 確 か に !)」
「(素直に納得すんの!? 言い訳ぐらいないわけ!? あんた本当に脳みそ入ってんの!?)」
『パパ、ママ』
言ってしまったことは訂正できない。冷や汗を垂らしながら2人が藍へ視線を移すと、藍はまたも無邪気に聞いてきた。
『“にねんご”って、どのくらい?』
「「……へ?」」
聞かれて一瞬固まって、すぐに現状を理解した。
「あ、あぁ、もっと先! 俺らがもっと大人になってからだ! なぁ光!?」
「そ、そうそう! もっともーっと先の話なのよ結婚ってのは!」
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