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おれは今日も事務所の窓から射し込む春の陽を、気持ちよく背中に受けていた。
クッション材にウレタンフォームを使ったパソコンチェアに座り、足を机に投げ出し体を前後に揺らしている。
これをやらないと腹の上でくつろぐ、おれの相棒の機嫌が悪いんだよ。
相棒と言ってもまったく仕事に貢献しないヤツ。オスの三毛猫、タケシのことだけどね。
三毛猫──タケシ。
このワードだけで、映画『南極物語』を引っ張りだせたら、あんたの知識もたいしたものだよ。
南極物語って、小学生だって知ってる、樺太犬のタロとジロの奇跡の生還物語だ。
実は南極物語には、オスの三毛猫の秘話があることは意外と知られていない。
三毛猫のオスが生まれる確率は、およそ三万匹に一匹で『幸運を招く猫』と呼ばれ、オスの三毛猫を船に乗せると、その船は遭難しないといわれている。
詳しく話してあげたいんだけど、ページの都合で紹介できないから、興味のある人は図書館にでも行って調べてくれ。
『読むことは勉強。時間が経つとそれが知恵になる』
誰の言葉だっけ。
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