ドラゴンスケイル王国

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アクアに話をした後二人は時間を掛けて話し合ったようだった。 二人は夕食が終わると俺の元へとやってきた。 「アクアから話は伺いました。 お父様とお母様の二人を助けたい、その気持ちは本当に強くあります。 ですが私達を助けてくださった貴方の事を考えるととても迷いました。 今でも迷っています。 ですが私なりに覚悟を決めて話しに来ました。」 アリアは歳に不相応な表情で話を進める。 とてもつらい決断をした時にする覚悟を決めた表情だ。 (どのような選択肢を選ぼうが俺は構わないが…) アリアの決めた覚悟がどのような物かに興味が集中する。 「私は両親を… 助けに行くことを諦めます。」 やっと搾り出したような小さな声で、しかしはっきりと助けに行くことを拒否した。 「ほぅ、何故だ。 たしかに成功するとは言い難いが助けに行くことには問題ないのだぞ。」 俺はこの時アリアに興味津々だった。 きっと助けに行きたいと言うと思っていたからだ。 今年10歳になったばかりというアリアが下す決断にしては予想外だった。 「お父様にもお母様にも助かって頂きたいと思っています。 ですがお父様はずっと仰っていました。 富める者に助けてもらったら感謝するだけでいい。 しかし貧しき者に助けてもらったら全てを投げ打ってでもその者の為に動け、と。 失礼かと思いますがツヴァイ様が国より力をお持ちとは思えません… それに助けて頂いたご恩があるにも関わらず更に助けて頂いたと知れば、お父様は助けられたとしても喜ばないと思います。」 ふむ、アリアの父親というのは少し変わった教育をしていたのだろう。 中々面白い考えを持っているようだ。 「助けに動いて危険があるのが私だけならば助けに行きます。 ですがきっとツヴァイ様にも…それにアクアにも危険は及ぶでしょう。 私のわがままで危険を増やすわけには参りません。」 アリアも面白い奴だ。 「そうか、お前達の覚悟は理解した。」 アリアは己の都合で俺まで巻き込むのが嫌だという。 ならば…
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