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「せ、先輩!」
「「んぁ?」」
昼食を何処で食べるか相談しながら廊下を歩いていると、不意に後ろから声を掛けられた。
振り返ると女生徒が3人。
黒髪ロングヘアの可愛らしい女の子を先頭にして、その後ろに残り2人が控えてる感じ。
声を掛けて来たのが女の子の時点で、用事があるのは十中八九、銀次だろう。
それに、先頭の女の子の顔が赤い。何の用事で声を掛けたかは一目瞭然だ。
「あー…ポチ。アタシ、先に行ってるから終わったらおいで。」
こういう場面は今回が初めてではないし、空気を読んで席を外す旨を伝えるがーー
「あ?いいよ。そこで待っててよ。どうせ、すぐ終わる。」
ーー銀次はデリカシーがない。
銀次は鈍感な訳ではないし、空気が読めない訳でもない。
こういう事は今まで沢山あった。
ただ、結果は変わらない…というか返事は決まっている為、必要以上に優しくしないのだ。
「で?何?さっさと用件言って。」
「えっ…あの…場所を、変え…」
「必要ない。時間が勿体ないから早くして。」
「え、え…でも、ここじゃ…」
黒髪の女生徒は狼狽えながらも場所を変えて話したいと訴える。
だが、銀次は頑なにその場を動こうとしない。
何ともデリカシーのない行動だ。
今は昼飯時であり、銀次達の居る廊下は勿論、その先の教室にも生徒が沢山いる。
女生徒の一世一代の告白は、皆の注目の的である。
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