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「……話したくないことだらけだからね」
僕は苦笑した。
「でも、話しとくべきだよね。いつまでも君に気を使わせるのも良くないし。――食べ終わってからにしようか。夕飯冷めちゃうし」
依舞の、フォークを持った手の動きが止まっているのを見て僕は付け足した。
無言で夕飯を食べ、それから皿を洗う。
「話長くなるけど……良いかな」
二人並んでソファに腰かけながら僕は話を切り出した。
「はい。話したくなかったら途中でやめちゃっても構いませんからね?」
依舞はそう言って微笑んだ。
僕は依舞に過去の話をすることを決意した。
ただし、綾香の自殺の件と、母親を殺した件を抜いて、だ。
この二つを隠したことによって、僕は自覚する。
僕が、悪いんだと。
だから――
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