焦りと束縛

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「そうしようか」 「今日は何を作りますか?」 「今日は……」 二人で仲良く喋りながら台所に買ってきた食材を運ぶ。 「――先輩、本当料理上手ですよね」 僕の包丁さばきを見て、依舞は言った。 「私も料理しないってわけじゃないけど。先輩に比べたら下手だし遅いし……」 「慣れだよ、慣れ」 「料理、趣味なんですか?」 ……嫌いではないけど好きではない。 義務だったからやっていただけのこと。 どう返答しようか迷っていたら依舞は話を変えてきた。 「この時期にトマトって高いんじゃないですか?」 ……第三。 不満を言わないだけじゃなくて、依舞は違和感を感じるほどに僕に気を遣ってくるということ。
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