第2話 (TOMOMI'S Side)

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その後、コンサートのための打ち合わせ。 コンサートの内容は6人で決めるため、コンサート会場の規模と その場所を確保するための連絡、宿泊に関してだった。 「今回さ、パンフレットを九州のどこかで取りたいらしいんだけど、どこかある?」 五十嵐の問いかけに、斉藤と矢野は困り顔だ。 「あ・・・。あの~」 ようやく友美は口を開くことができた。 「九州って言っても、温泉地から、福岡みたいなところもあるし、桜島や熊本城、宮崎みたいな観光地もあります。どんな感じで取りたいのか・・・」 そこまでいうと、五十嵐が何かを思い出したように友美に聞いてきた。 「田上さん、確か出身が九州…だっけ?」 その問いに友美は答えた。 「はい。宮崎です。でも、学生時代は鹿児島市内に住んでました」 その言葉に、斉藤が聞いてきた。 「どこか、ノスタルジックな風景とか、ないかな?」 その言葉に友美は思いつくまま、天井を見上げてつぶやく 「そうですね~・・・。青島、堀切峠、サンメッセ。 西都原古墳群、生駒高原、綾の吊り橋、酒仙の杜・・・」 そのつぶやきを、矢野がPC上に映し出していく。 「おお!サンメッセ日南っていいじゃん。モアイ像!」 「綾の照葉樹林だって。いいね~」 「酒仙の杜って温泉宿泊施設あるじゃん、ここ、いいね」 口々に感想を言うと、五十嵐が即決した。 「宮崎で、パンフ撮影だ。宿は酒仙の杜。斉藤、手配よろしく。 あと、矢野は、サンメッセに撮影許可をもらって。田上さんは、宮崎の移動手段、しらべて。期限は、2週間後。いいね」 五十嵐のてきぱきとした指示に、友美は圧倒されつつも、 手帳に「宮崎の交通手段」とかきこむ。 「さて、今日はこんなもんかな。じゃ、明日からもよろしく」 五十嵐の一言で、マネージャー会議も終了。 後片付けをし始めた友美を横目に、五十嵐が坂本に電話を掛ける。 「お疲れ様、五十嵐だけど。今、そこに誰かいる?」 友美に聞こえるように、大きな声で話している。 「あれ?お前じゃないの?今日の主催者。」 途中、素っ頓狂な声を出した五十嵐に視線を向けると、矢野もにやにやしだす。
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