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…時間はさかのぼる…
長野と坂本は、五十嵐から新しいマネージャーを紹介された後、
打ち合わせをし、今日の仕事はおしまい。
彼女が五十嵐と出て行った後も、2人で打ち合わせの部屋にいた。
ちょっとの無言の後、長野が口火を切った。
「ね、坂本君。今日、なんかある?」
長野がこう聞いてくるときは、大概、夕飯の話だ。
「いや、特に。…飯、いくのか?」
坂本が、いつものように聞くと、長野がちょっと言いにくそうに提案してきた。
「せっかく女性のマネージャーが久々就いたんだよ、歓迎会、しない?」
その言葉に、坂本が驚いた。
「珍しいな、長野。お前がそんなこと言うなんてさ。」
「べつに、珍しくもないでしょう。ただ、飯いくんだったら、ついでかなって
思ってさ」
長野が照れくさそうに、反論する。
「そうだな、井ノ原も呼ぼうぜ。トニセンにはついてもらう人なんだから。」
坂本の提案に、長野も笑顔で「そうだね」とうなずく。
早速、坂本が井ノ原に電話を掛けると
健と一緒にコンサートの曲アレンジの打ち合わせ中だった。
「なに~?坂本君、急ぎの用事?」
のんきに話す井ノ原に、坂本が、新しくマネージャーが入ったこと、
長野がその人の歓迎会をしようと提案したことを話すと、
聞き耳を立てていたらしい健が、横から大きな声で話してきた。
「ねえねえ、その人、男の人?」
「女の人だって」という、井ノ原の声がした。
「もうチョイしたら、今の曲のアレンジ終わるから、それで今日の作業終わりだし。そのあと合流していい?」
井ノ原がそういうと、後ろから、「俺も、俺も~」と健が叫ぶ声がする。
「わかった、場所決まったら、連絡するよ。」
そういって坂本は電話を切った。
長野は長野で、剛と岡田に連絡を取ったようだ。
「剛は、斉藤さんといったん会社に行くって。岡田は夕方から打ち合わせだって。剛はくるってさ。」
「岡田は?」
さすが、リーダー、最年少さんのことを気遣う。
「どうだろ?来たいとは言ってたみたいだけど…。」
と、長野が言うと、坂本もしょうがないといった様子で答える
「仕事が終わったころ、電話してみればいいな」
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