第3話(TONISEN’S Side)

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…時間はさかのぼる… 長野と坂本は、五十嵐から新しいマネージャーを紹介された後、 打ち合わせをし、今日の仕事はおしまい。 彼女が五十嵐と出て行った後も、2人で打ち合わせの部屋にいた。 ちょっとの無言の後、長野が口火を切った。 「ね、坂本君。今日、なんかある?」 長野がこう聞いてくるときは、大概、夕飯の話だ。 「いや、特に。…飯、いくのか?」 坂本が、いつものように聞くと、長野がちょっと言いにくそうに提案してきた。 「せっかく女性のマネージャーが久々就いたんだよ、歓迎会、しない?」 その言葉に、坂本が驚いた。 「珍しいな、長野。お前がそんなこと言うなんてさ。」 「べつに、珍しくもないでしょう。ただ、飯いくんだったら、ついでかなって 思ってさ」 長野が照れくさそうに、反論する。 「そうだな、井ノ原も呼ぼうぜ。トニセンにはついてもらう人なんだから。」 坂本の提案に、長野も笑顔で「そうだね」とうなずく。 早速、坂本が井ノ原に電話を掛けると 健と一緒にコンサートの曲アレンジの打ち合わせ中だった。 「なに~?坂本君、急ぎの用事?」 のんきに話す井ノ原に、坂本が、新しくマネージャーが入ったこと、 長野がその人の歓迎会をしようと提案したことを話すと、 聞き耳を立てていたらしい健が、横から大きな声で話してきた。 「ねえねえ、その人、男の人?」 「女の人だって」という、井ノ原の声がした。 「もうチョイしたら、今の曲のアレンジ終わるから、それで今日の作業終わりだし。そのあと合流していい?」 井ノ原がそういうと、後ろから、「俺も、俺も~」と健が叫ぶ声がする。 「わかった、場所決まったら、連絡するよ。」 そういって坂本は電話を切った。 長野は長野で、剛と岡田に連絡を取ったようだ。 「剛は、斉藤さんといったん会社に行くって。岡田は夕方から打ち合わせだって。剛はくるってさ。」 「岡田は?」 さすが、リーダー、最年少さんのことを気遣う。 「どうだろ?来たいとは言ってたみたいだけど…。」 と、長野が言うと、坂本もしょうがないといった様子で答える 「仕事が終わったころ、電話してみればいいな」
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