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五十嵐は、坂本・長野とともに、コンサートアレンジをしているスタジオに向かう。
「岡田、そんなに大変なの?」
坂本が少し心配そうに聞いてきた。
五十嵐は、ちょっとだけ渋い顔をして、答える
「そこまではないが、ただ、共演者との兼ね合いがあるからな。その分、6人での作業が時間が取れないってだけでさ。」
「そっか。俺らが頑張んないといけないわけか・・・」
坂本がそうつぶやくと、五十嵐は肩をすくめる。
長野は車窓をぼんやりとみている。
作業しているスタジオは、割と近く、すぐに到着する。
「おはようございま~す」
小声であいさつし、スタジオ内に入ると、健がぶんぶんと両手を振った。
それに気付いて、井ノ原が声を上げる。
「あ、ちょっと、これ聴いて」
坂本と長野は二人の近くまで行き、アレンジされた曲を聴く。
「…うん、いい感じかもな。もちょっと、ジャズっぽくってもいいのかもれしないけど、次との兼ね合いだと、こうなるかな」
坂本がいうと、健が同調する。
「でしょ、でしょ。次と連続して聞くと、こっちがいいんだって。」
もう一度、流して聞いてみると、健の言うとおり、しっくりくる。
「ん、いいじゃん。」
長野の一言で、そこはそれで決定となった。
「いったん休憩しましょう」
アレンジャーの声に、健は早速坂本と長野に聞いてきた。
「新しいマネージャーさんも来るの?」
その問いに、坂本と長野は顔を上げて、見合わせた。その様子に井ノ原が、
聞いてきた。
「もしかして、言ってないとか・・・。」
そのことに気付いた坂本と長野は、愛想笑いでごまかした。すると、健が長野をせかす。
「連絡先聞いてないの?知ってるなら、すぐ電話しなきゃ」
健は、長野の横にぴたっとくっつき、携帯の聞こえる位置に顔を寄せた。
長野は緊張気味に、友美に電話をかけた。
「あ、つながった?長野です。…田上さん?今、どこにいるの?」
(田上さんっていうんだ)
健が長野の耳元で聞いてきた。
「何かありました?」という、心配そうな友美の声に、長野は笑顔が出てしまう。
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