第3話(TONISEN’S Side)

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五十嵐は、坂本・長野とともに、コンサートアレンジをしているスタジオに向かう。 「岡田、そんなに大変なの?」 坂本が少し心配そうに聞いてきた。 五十嵐は、ちょっとだけ渋い顔をして、答える 「そこまではないが、ただ、共演者との兼ね合いがあるからな。その分、6人での作業が時間が取れないってだけでさ。」 「そっか。俺らが頑張んないといけないわけか・・・」 坂本がそうつぶやくと、五十嵐は肩をすくめる。 長野は車窓をぼんやりとみている。 作業しているスタジオは、割と近く、すぐに到着する。 「おはようございま~す」 小声であいさつし、スタジオ内に入ると、健がぶんぶんと両手を振った。 それに気付いて、井ノ原が声を上げる。 「あ、ちょっと、これ聴いて」 坂本と長野は二人の近くまで行き、アレンジされた曲を聴く。 「…うん、いい感じかもな。もちょっと、ジャズっぽくってもいいのかもれしないけど、次との兼ね合いだと、こうなるかな」 坂本がいうと、健が同調する。 「でしょ、でしょ。次と連続して聞くと、こっちがいいんだって。」 もう一度、流して聞いてみると、健の言うとおり、しっくりくる。 「ん、いいじゃん。」 長野の一言で、そこはそれで決定となった。 「いったん休憩しましょう」 アレンジャーの声に、健は早速坂本と長野に聞いてきた。 「新しいマネージャーさんも来るの?」 その問いに、坂本と長野は顔を上げて、見合わせた。その様子に井ノ原が、 聞いてきた。 「もしかして、言ってないとか・・・。」 そのことに気付いた坂本と長野は、愛想笑いでごまかした。すると、健が長野をせかす。 「連絡先聞いてないの?知ってるなら、すぐ電話しなきゃ」 健は、長野の横にぴたっとくっつき、携帯の聞こえる位置に顔を寄せた。 長野は緊張気味に、友美に電話をかけた。 「あ、つながった?長野です。…田上さん?今、どこにいるの?」 (田上さんっていうんだ) 健が長野の耳元で聞いてきた。 「何かありました?」という、心配そうな友美の声に、長野は笑顔が出てしまう。
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