第1話

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「あ、あの・・・。いきなりで、頭の整理が・・・」 そこまでやっとのことで言い終えると、 五十嵐さんが、笑い出した。 「そうだよね、出社初日にいきなり、こんなこと言われて、 どうしようって思うね。・・・わかったちゃんと説明しよう。 具体的にもどうしていくか、ここ1週間の動きも覚えてもらうから」 さらっと仕事内容を説明する五十嵐チーフに、坂本が助け船を出す。 「五十嵐さん、ちゃんと言っておかないと、 前みたいなことになるよ。」 そういって、コーヒーメーカーからディスポのコップにコーヒーをついで 友美の前に置いた。 「とりあえず、座ろう。ちょっと落ち着いて説明するから」 そういって、席を進めてくれた。 「あ・・・ありがとうございます」 遠慮しつつ、着席すると、友美の前に五十嵐、右斜め前に坂本が座る。 勧められたコーヒーをすすると、ちょっとだけ落ち着く。 落ち着いた頭で思い出したのは、手帳をだすこと、メモを取ること。 「うん。基本はできそうだね」 坂本が一言、つぶやいた。 (手帳を出して、メモを取るのが基本?) ちょっと意外に思いながら、五十嵐さんが資料を提示してくれた。 「V6ってグループ知ってるよね。…君には、そのマネージメントの補佐をしてもらうことになる。・・・つまり、最初は俺の下について、こまごまとしたことをやってもらうことになる。いいね。・・・で、具体的には、俺が現場にいけない時に行ってもらうこと、タレントたちとスケジュールの確認を取ること、俺にスケジュールの調整を聞くこと、それをメンバーに伝えること。」 (報告・連絡・相談ってことか) 頭の中で端的にまとめると、”メンバーのスケジュール・報告・連絡・相談”と書き込む。 会社では、どこでも大事なことである。 「あとは、・・・これは女性ってことで、期待してるんだけど。メンバーの身だしなみ。オフになると、髭、そらないんだよ、こいつら。特に坂本・長野」 「仕事で髭、はやさなきゃいけない時もあるだろ」 坂本がちょっと、不服そうに反論した 「オフんときぐらい、いいじゃない、髭そんままで。めんどくさいんだよな」 「そういう問題じゃないだろ?…ってことで、それも、よろしく」
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