第1話

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3人が席に着くと、長野が友美の隣・坂本の前に座った その時、ほのかに甘い香りがする。 (うわ、いい香り、香水かな…) 友美は、その香りにちょっとときめいてしまう。 「で、長野も来たので、また最初から説明するね・・・。」 五十嵐の声に、友美は背筋を伸ばす。 とりあえず、1週間分の詳しいスケジュールと、ここ1か月の大まかなスケジュール。年間を通しての仕事配分、レギュラー分の仕事。 舞台や、単発ゲストの仕事… 友美は手帳にたくさん書き込む。 (これ、手帳これじゃだめかも。もっと書き込めるの、買わなきゃ・・・) そう思っても、今日はこれしかない。 できるだけ、できるだけ詳しく、いっぱい書き込んだ。 その手帳を、長野が覗き込む。 「…書いたね~。こう見ると、俺ら、働きすぎかも。でも、田上さんも詳しく書きすぎ。」 五十嵐の言葉を、聞き漏らさないようにして書いていたので、 友美の手帳は、ほかに書き込むことができないくらいだ。 「あ、今日はこの手帳しかないので、今から買いに出かけて、もっと書き込めるの、買おうと思います。…それに、詳しく書いておかないと、不安で…」 その言葉に、坂本も長野も笑みを深くした。 「最初っから頑張りすぎると疲れるから、ほどほどにね」 坂本がアドバイスすると、長野がちゃちゃをいれる。 「デビューのとき、『楽しもうぜ』っていって、一番緊張していた人の言葉とは思えないんですけど」 その言葉に坂本が観念する 「それいうなって」 そのやり取りに、友美は自然と笑みが出た。 「お、笑った。ちょっとは緊張とれた?」 坂本の言葉に、友美はハッとし、顔を赤らめて、うつむいてしまう。 「…仕事を覚えることで、精いっぱいで…。だけど、お二人のやり取りで、なごんじゃって…」
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