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3人が席に着くと、長野が友美の隣・坂本の前に座った
その時、ほのかに甘い香りがする。
(うわ、いい香り、香水かな…)
友美は、その香りにちょっとときめいてしまう。
「で、長野も来たので、また最初から説明するね・・・。」
五十嵐の声に、友美は背筋を伸ばす。
とりあえず、1週間分の詳しいスケジュールと、ここ1か月の大まかなスケジュール。年間を通しての仕事配分、レギュラー分の仕事。
舞台や、単発ゲストの仕事…
友美は手帳にたくさん書き込む。
(これ、手帳これじゃだめかも。もっと書き込めるの、買わなきゃ・・・)
そう思っても、今日はこれしかない。
できるだけ、できるだけ詳しく、いっぱい書き込んだ。
その手帳を、長野が覗き込む。
「…書いたね~。こう見ると、俺ら、働きすぎかも。でも、田上さんも詳しく書きすぎ。」
五十嵐の言葉を、聞き漏らさないようにして書いていたので、
友美の手帳は、ほかに書き込むことができないくらいだ。
「あ、今日はこの手帳しかないので、今から買いに出かけて、もっと書き込めるの、買おうと思います。…それに、詳しく書いておかないと、不安で…」
その言葉に、坂本も長野も笑みを深くした。
「最初っから頑張りすぎると疲れるから、ほどほどにね」
坂本がアドバイスすると、長野がちゃちゃをいれる。
「デビューのとき、『楽しもうぜ』っていって、一番緊張していた人の言葉とは思えないんですけど」
その言葉に坂本が観念する
「それいうなって」
そのやり取りに、友美は自然と笑みが出た。
「お、笑った。ちょっとは緊張とれた?」
坂本の言葉に、友美はハッとし、顔を赤らめて、うつむいてしまう。
「…仕事を覚えることで、精いっぱいで…。だけど、お二人のやり取りで、なごんじゃって…」
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