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「わりーな。わざわざ東京まで来て貰っちゃって」
改札から出てきた僕に、そう言いながら寄ってくる兼元。
服装とツンツンした髪型は変わっていなかったが、その髪色は黒くなっていた。
「実習始まってるからさ」
僕の目線に気付いたのか、兼元は自分の髪の毛を引っ張りながらそう言った。
「よしおかが普通に卒業して就職するとは思わなかったよ」
「僕だってそんなつもり無かったさ」
学生時代よく行っていた居酒屋に足を運びながら会話する。
「お勉強のよく出来る岡本君でも司法試験は不安になっちゃったかな?」
いたずらっ子のような笑みを浮かべから茶化してくる。
「父親の会社を継ぐためだよ」
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