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「へぇ……」
兼元は眼をパチクリさせた。
「……僕の父親が社長だったことがそんなに意外か」
「いや、そっちじゃない」
兼元は首を横に振った。
「お前が家族の話をしたのが初めてだから驚いただけだ」
考えてみれば僕と兼元は、その日あった出来事や最近のニュース、お互いの価値観について話し合うことはあったけど、家族の話なんていうのは一切した事が無かった。
週末だからか居酒屋は賑わっている。
店員に人数を告げたら個室に通された。
「こういう席はさ、カップルが使うもんだよな。酔っちゃったーとか言って甘えてさ」
兼元はニヤニヤしながら言った。
「酒のせいにして甘えるんだから女ってのは計算高い」
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