安らぎ

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学校でも居場所があまり無かった俺にとって、兄はとても大きな存在だった。 「頑張ったご褒美にパフェ食わせてやるよ」 「本当!?」 「兄ちゃんがお前に嘘言ったことあったか?」 「ない!!」 俺が笑うと兄も笑う。 年の差は大きかったが仲が良い兄弟だった。 年の差どころか、持っている能力の差は激しかったし、劣等感でいっぱいなのも事実だったけど、俺は兄のことを尊敬していたし、大好きだった。 ――だけど、そんな兄は高校卒業と共に家を出て行った。 当時、俺はまだ小学生で状況が把握できていなかった。 勉強できる高校に行ったのに何故母親も父親も兄に説教しているのだろうと疑問に思っていたが、今考えるとその時既にバイオリニストになれという両親の要望に背く気だったんだろう。
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