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「――兼元君?」
急に話しかけられて軽く跳ねる。
「あ、ごめん。驚かせちゃった?」
「いや、大丈夫だけど……」
語尾にいくに連れて声が小さくなっていく。
人と話すのは苦手だ。
「早く帰った方が良いよ。澤田逹来るから」
「ありがと……」
『澤田逹』というのはこの学校の所謂不良グループのことで、いじめられっ子の俺からしたら最も避けなきゃいけない人達を指していた。
「あの……」
「ん?」
「……飯野さんは帰らなくて良いの?」
「私はここで待つように言われたから」
そう言いながら机に腰掛ける。
背を向けて座ったので表情は見えない。
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