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「美術部員を美術室から追い出すってのも変な話だけどね」
そう言って足をぶらぶらさせる飯野さんも美術部の幽霊部員の一人。
他の部員と違って美術室に来ることはそれなりにあったけど、それは大抵こういう時だった。
彼女が絵を描いたり何かを作ったりしているところを見たことはない。
「まあ……」
『仕方ないよね』と言いかけて口を噤む。
仕方無いなんて言えない。
俺はこれから――何が起こるか知ってるのに。
「……ばいばい」
小声で挨拶をして、ドアを開ける。
澤田たちの姿が見えたので、それとは反対の階段から駆け降りた。
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