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タクシーのドアが閉まり、美緒は荷物をほおり投げ、タクシーの窓ガラスを叩いた。
『ちょっと、出て来なさいよ。
私が止めたのに、何勝手に乗ってんのよ。
早く出て来い!』
と美緒が叫んでいたが、男はタクシーから降りることなく、行ってしまった。
『こらー!待てー!テメー!ふざけんな!
このクソガキ!私が止めたタクシーに…』
見えなくなったタクシーに叫んでいる自分が虚しくなった…。
『はぁ…、今日はついてない…。
待つしかないか…、待つしか…』
美緒は自分に言い聞かせタクシーを待った。
『あのガキ、今度どっかで逢ったらただじゃおかない。
ちょっと、雪降ってきたじゃんよ、寒い。
タクシー早く来いよ、まったく…』
雪の降る寒空の中、美緒は二十分もタクシーを待った…。
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