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そうこうしていると、その時がやって来た。
真っ暗な空に、大きな音と共に色とりどりの大輪の花が咲き始めた。
「わぁー!きれー!」
「たまやー!」
真理子と涼子が興奮しながら見ている中、美緒は花火を見て、涙が流した。
二十九歳最後の夏が終わる。
頭の中に浮かび上がる数々の想い出…。
楽しいことよりも、苦しみや辛さが多かった人生の中で、たくさんの出逢いがあって、いつも支えてくれた友達がいた。
なかなかいい人生だと思う。
そんなことをしみじみと思い出し、そして、今朝の永嶋の顔を思い出した。
美緒の人生の中で、忘れられない思い出…。
『永嶋さん、この綺麗な花火見えますか。
この花火を見ていると、どんなこともいい想い出に変わります。
あなたは今、何を想っていますか』
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