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それからの私は、
自分の為にも、これまで以上に勉強を頑張っていた。
冬木先生への想いは、今は少しだけ、胸の奥に大事に留めておくことにして……。
……冬木先生の
気持ちには、気付かないまま。
私は冬木先生を、担任の先生として接するようにと心掛けるようになっていた。
今は我慢しなくちゃいけないと、自分に言い聞かせるようにしてた。
……でも、
少しだけ、本当は勉強に逃げてたのも事実だった。
冬木先生のことを考えては、
先の事が、不安になってしまう気持ちを必死で拭い去るように…
勉強を頑張ることで、まるでそれを埋め尽くすかのように。
ーーシーン…
と、静かな放課後の数学準備室。
いつもの窓際の机で勉強に集中していたんだけど…
少しだけ、
寝不足ぎみだった私は、教科書を広げたまんまで居眠りをしていた。
「…柊?」
先生の声が僅かに聞こえた気がしたけど、瞼が重くて開かなかった。
「風邪…ひくぞ…」
「…ぁ、はぃ…」
返事をなんとか、返したけど…
そのまま動けなかった。
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