出逢い

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徐々に落ち着きを取り戻してきたわたしは、歌声の主が気になり出した。 それなのに、振り向き、声の発する方に顔を向ける事ができない。 これまでの恋愛を振り返ると、好きといってくれた人と付き合い、相手から「思っている人と違う」 「俺のこと好きじゃないでしょ?」 等々の言葉と共にふられつづけてきた。 そんなわたしは正直生身の男が苦手。 好きになるってこともよくわからない。 わたしのこの歌声に対する執着、感情はなんなんだ? わたしは歌声に恋したのか? 声の主に対する興味が自分の中に生まれ、自分の歌声に対する想いは何なのか、疑問がむくむくとわきだしてきた。 好きな声 そうそれは間違いない。 その歌声に触れた時の感覚は今も鮮明に身体に残っている。 そしてその歌声にまた会いたくて、自然とこの公園に通うようになった。 好きで会いたくなる。 それって恋じゃないか? 乏しい経験から導き出す答えは、 イエスだった。 …… うん、わたしは恋をしたんだ。
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