第1話

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目が覚めると一面肌色だった。 ゆっくり、ほんと一ミリ動くのに何分か掛けてそりゃもー絶対隣を起こさぬよう細心の注意を払いゆっくりゆっくり上半身を起こす。 隣を見るとなんとも満足気な寝顔(に見える)をした親友が寝こけている。 いやいや、俺が親友だと思ってただけで親友じゃなかった。 … また時間を掛けてベッドから抜け出す。 今の、この、両手は床について這いながら下半身をベッドから出している作業、誰にも見られたくない。 ほんと、もうなにしてんだろ、俺… ズキズキ、色んなところが痛む。 床に散らばった服をかき集めて、目に留まったコンドームの箱だとか未使用のゴムだとか使用済みでティッシュにくるまった何かだとか何かカピカピな丸まったティッシュだとかもひっそり片付ける。 はぁぁ ちょっと多くないか? 何個使ってんだよ、あいつは… 盛り上がった布団を睨み付けて嘆息する。 全く起きる気配なしだ、あんなに気遣って這い出すことなかった!クソッ かき集めた服を一枚一枚身体に重ねていく。二日目のシャツなんて、一生着る機会はないと思ってた。 なんか気持ち悪い。靴下と下着は昨日あいつが洗濯乾燥してくれてたはず。 服を着て、暫く穏やかーな寝顔を見下ろしていたが、起きる気配もないしコーヒー飲みたいしで外に出ることにした。 荷物は…持っていこう。家に帰りたくなるような気がする。 玄関まで行って靴箱の上の鍵に気がついた。
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