2012年10月

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私達の仕事先はいわゆるブラック会社でした。 従業員数がとにかく少なくて、休みなく日本全国を飛び回る彼のアシスタントとして、半人前ながら時折先方まで同行したり、彼の不在時に事務所で受けた商談を資料にして手配したりと、接点は必然的に多くなりました。 また、ブラック会社にありがちな話として、上層部の考え方や方針は所々、消費者の安全性を切り捨てた利益重視のやり方で、私がそれに対する疑問を口にするごとに、上層部には面白くない生意気なバイトとして受け取られ、反比例するように、彼は私を逆に面白い奴だと思ったようでした。 いつからか、社内での私は、常に彼の後ろをくっついて歩くイメージが強くなっていたんだと思います。
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