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『そういうことは彼女に言いなよ』
そうだな、と返されたら、たぶん立ち直れない。
相当な重症だ。
言葉を消してまっさらになった画面を見つめたまま、素直になれない自分を笑う。
「本社から戻ってこないかって再三声がかかるんだが…いいのか?本当に」
こちらの上司は何度もそう言って私に確認した。
もうしばらくこっちで勉強させてください、とそのたびに頭を下げた。
実際、こちらで学ぶべきことはたくさんあった。
支社の人たちはみな温かかったし、私個人に回ってくる仕事も増えた。
私のやるべきことはまだこっちにある。
そう自分に言い聞かせた。
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