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『お前、俺にプレゼントとかないわけ?』
吐く息すら凍りそうなその寒さの中で開いたメールの文面に、思わず失笑した。
『あるわけないじゃん』
凍える手でそう打ち込み、すぐに返信する。
『なんだよ。ケチ』
時差をものともせずすんなりと返ってくる言葉に、小さなため息を吐く。
『そういうことは彼女に言いなよ』
送信ボタンを押そうかどうかしばらく迷った後で、その文面は消した。
まっさらになった画面を見つめたまま、思う。
もうずいぶんと会っていない。
あまりに懐かしくてひどく遠い、その姿を。
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