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『お前、何だよこれ!』
電話の向こうから爆笑しながらそう言う彼の声が聞こえる。
『何って、ほしがってたじゃん。生写真』
しれっとしてそう答えながら、画面に映し出された映像を細かくチェックする。
色味に問題はない。
修正箇所は完璧に直されている。
これでオッケーだな、と―
『誰がトナカイとトナカイ料理の生写真送れって言ったんだよ。マジ腹いてぇ』
「そっちでその写真はなかなか手に入らないでしょ。ありがたく受け取んなさいよね」
保存ボタンをカチッとマウスでクリックしながらそう答える。
今日の仕事、これにて完了。
『てかさ、お前ホントに帰ってこねーの?』
ひーひー笑いながらもさりげなくそう言った彼の言葉が、胸の中の何かを疼かせる。
「うん。そんなヒマないし」
そう言いながらも、本当は心の中で別の言葉を呟いていた。
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