第2話

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安価で量産できるマグカップの生産、これが事の発端だった。 人件費の安い海外で資金を削りに削って作ったはいいものの、他の商品との差別化を図るために思いっきり派手なデザインにしたのがいけなかったのか。 発売したはいいものの大量に売れ残り、倉庫には行き場を無くした在庫でいっぱいになった。 「それは前にも話したよな?」 少人数用の小さなな会議室。 そこで俺は話し相手になっている後輩の佐藤に向かって話している。 「で、俺はその大量の在庫の処理をお前に任された。 どうにか手を加えて少しでもいいから収益を上げろ、と。 少しぐらいなら自由にやってもいいと言う上からのお達しだしな。 お前にも、既成概念にとらわれない面白い発想で作っていいって言った。俺、確かにそう言った」 佐藤は俺の向かいの席に座って静かにうなずき相槌を打った。
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