第1話『少女と少年の運命が交差する日』

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 顔を洗って、朝食を済ませ、学校に来れば運動部が朝の練習にちらほら登校していた。  既に着替えて朝の練習に励む者もいる。  自分を見かけて挨拶してくれる生徒もいた。  …何故か、安堵出来る。   「おはよー!生徒会長」    一人の男子生徒が自分に声をかけて来た。  運動部の確か、二年の田口といった気がする。隣のクラスでとても愛想が良くて、明るい奴だ。  田口は基本、誰に対しても愛想が良い。   「おはよう、田口」    此方からも挨拶を返せば田口は満足そうに白い歯を出して笑った。  その後、田口は妙に真剣な表情を浮かべ、   「聞いたか?高等部で行方不明者出たらしいって」   「初耳だな」    行方不明者。家出か何かか?  別にさして珍しい事では無い。  だが、田口の続ける話は、   「何か襲われたらしいぜ?夜、ソイツが公園に入って行くのを偶然なのかソイツの友達が見掛けてさ」    田口は尚も話を続ける。   「ソイツを追いかけて公園に入ったらソイツいなくてさ、地面に大量の血痕があったらしい。一夜明けた今日も帰って来てないらしいよ?ソイツ」    田口がそう言った後、ホイッスルが高らかに鳴り響く。  どうやら、田口の部活が召集をかけたらしい。  軽く別れの挨拶をして、田口と別れた。  その後、職員室に寄れば教師からも話を聞かされた。  あまり事件が此れといって起きない、この地区ではその話題で持ちきりだ。  どこか、気持ちの悪いものを抱えて、自分は生徒会室で書類業務をする事にした。
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