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シェフはわたしの気持ちには
全く気付いていないようで、
鼻歌交じりにまた何かを
盛り付けている。
…それにしても、
おっきい人だなあ…。
わたしは改めて大きな背中と
厨房の小さな出入り口を
見比べ、首を傾げた。
どうやってあの中に入るんだろう…。
先日会った時は、
奥の厨房の小さな窓から
顔を覗かせただけだったので
気付かなかったが、
さっき店に迎え入れてくれた時、
予想以上に大きなその身体に、
わたしは密かに驚いていた。
白井さんや田辺くんより、
たぶん大きいよね…。
こっそり観察していると、
シェフはくるりと
こちらを振り向き、
軽やかな足取りで近づいて来た。
「お次はこれ、どうぞ」
祐希と二人で覗き込むと、
それはお皿にちょこんと乗った、
茶色い小さな二つのかたまりだった。
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