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初めて見るものだったので、 まじまじと見つめていると、 シェフが得意げに言った。 「これ、フォアグラ。 …食べたこと、ない?」 「ないです…」 「世界3大珍味の一つだよ。 何事も勉強だから、 食べてごらん」 「三大チンミ…?」 「いっただっきまーす」 祐希がさっさと そのフォアグラとやらを 口に放り込む。 「……ん?…んーーー。 うん、なかなかうまい。 …アンキモみたい」 「おっ。分かってるね、 にいちゃん。これもキモだよ」 「…え、なんのキモ、ですか」 「ガチョウの肝臓」 「がちょ…」 「お姉ちゃんもひとつ、 食べてごらん」 「……は、はい…」 カンゾウ、とういう響きに、 手にしたフォークが まるで鉛のように重くなる。
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