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「あ、あのっ」 重圧に耐えられなくなった 祐希が、突然立ち上がる。 「俺、トイレにっ…」 「トイレなら、そっちよ」 カナさんはこちらを見つめたまま、 左後方を指差した。 祐希が、わたしの方を 心配そうにチラチラ見ながら、 トイレの方に歩いて行く。 やがてカナさんはふっと目を逸らし、 椅子の背中に置いていたらしい 小さなポーチを手に取った。 「ちょっと、外で タバコ吸ってくるわね」 「え…」 テーブルの上を見ると、 ガラス製の灰皿が置いてある。 「ここ、禁煙じゃ ないみたいですよ」 「あら、だって…」 「あ、わたしなら 大丈夫です、どうぞ」 「ダメよ。せっかく おしゃれして来たのに、 可愛いワンピースが タバコくさくなっちゃう」 カナさんは、そう言いながら わたしの身体を流し目で じっくりと眺めた。
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