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「ふうん…」
「…何ですか」
「萌ちゃんに、
すごく似合ってるわね。
お母さんと買いに行ったの?」
「……」
「私、高校生の頃から
大人びた服ばかり着てたから。
一度くらいは、そういう
年相応な恰好、してみたかったな。
…ほんと、かわいい」
くす、と笑って、立ち上がる。
身体のシルエットに沿った、
セクシーなワンピースが
視界に入り、わたしは目を伏せた。
膝の上で、手のひらをキュッと握る。
わたしを傷つけようと
しただけかもしれないけど、
…母のことも一緒に
バカにされたような気がして、
…顔が熱くなった。
涙まで出そうになって、
慌てて呑み込む。
「あ。
…やだ、泣かないで、萌ちゃん」
カナさんはこちら側に近づき、
身を屈めた。
甘い香水の香りが
ふわりと漂い、鼻をつく。
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