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「ねえ、これ、ちょっと 気合い入り過ぎじゃない?」 「そんなことない、 すっごく可愛い、萌ちゃん」 母は目を輝かせて言った。 わたしは家のリビングで、 消した液晶テレビに姿を映し、 くるりと一回りした。 ふんわり広がる、 グリーンのワンピース。 その裾から覗く ペチコートのレースが 甘すぎるような気がして、 …正直ちょっと恥ずかしい。 「…やっぱり、 もうひとつの方に しようかなあ…」 「こっちの方がいいわよ、 お誕生会って感じがするでしょ」 「わたしの誕生会じゃないってば」 「いいじゃない。 こういう時こそ、 いつもよりおめかししなきゃ」 「…うーん…」
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