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「お父さん、
…何か、機嫌悪い?」
「…別に、悪くないよ」
「そんなにテレビ、
観たかった?…ごめんね」
「…違うよ、ねーちゃん」
祐希が面白がるような口調で、
「ねーちゃんがあまりにも
可愛いカッコしてるから、
直視できないんだよ。
ね、とーちゃん」
驚いて父の顔を見ると、
それには答えず、
素知らぬ顔で新聞を読んでいる。
「まったく、ここの家の親は
二人揃って娘のこと大好きだねー。
ねーちゃんが
カレシなんか連れてきたら
大変なんじゃないの」
からかうような祐希の言葉に、
父がぐしゃっと新聞を握りしめ、
わたしを見上げた。
「……」
「……」
しばし見つめ合った後、
父は再び新聞に目を落とした。
「……」
お父さん…。
動揺の仕方、…マンガかっ。
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