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「お待たせ、萌~」
母がパタパタと
階段を下りて来る。
そして勢いよく
リビングに飛び込んで、
わたしのほうに両手を
上げて見せた。
「じゃーん。
…これ、貸してあげるっ」
母の指先から
垂れ下がっていたのは、
シルバーのネックレスだった。
その先には、キラキラした
ペンダントヘッドが付いている。
「可愛い…」
手に取ってよく見ると、
淡いピンク色の光る石が、
可愛らしい花のモチーフの
中央に納まっていた。
「これね、結婚前にパパが
ママにプレゼントして
くれたものなのよ」
「…お父さんが…」
「数多くのライバルたちを
蹴落とすために、貯金はたいて
買ってくれたんですって」
「そうなんだ…」
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