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先生の手のひらが、それを
覆い隠すように、
ゆっくりと撫で上げる。
「…や…」
吐息と一緒に、
甘えるような声が洩れた。
「椎名…」
耳元で、
少し余裕のない声が、甘く囁く。
…先生…。
もう一度、好き、と
言おうとした口を強引に塞がれ、
わたしは目を閉じ、身を委ねた。
観覧車と違って、キレイな
空は見えないけれど、
――このゴンドラは地上に
辿り着くことがない。
わたし達は時間を忘れて、
その狭い空間で、いつまでも熱く、
唇を求め合った。
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