第1話

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「あ、すみません・・・。  なんか、今までどうやって呼吸をしてたか  忘れちゃって・・・。」 一人暮らしの緊張のあまり 自分を見失ってる私のテンパりを横目に 彼氏はとどめを刺した。 「へー  いつも神経図太くて鈍感でガサツだと思ってたけど  眠れないとか  案外弱っちいのな」 ただでさえ興奮状態の私はイラっとして 声のする方に体ごと勢いよく体勢を変えて睨んだ。 そこには いつも私の傍にいてくれる 変わらない優しい瞳をした 莉人(りひと)が微笑んでいた。 「おはよーさん!」 そういって私の左頬をつねりながら 莉人は私にいつもより優しいキスをした。 私も そんな莉人の腕を掴んで 「おはだよ!」と キスを返した。 「何だよいつもよりテンション高いから朝から疲れるわー」 私たちは ベッドの中でケタケタ笑い合った。 ありがとう、莉人 あなたも寝てないのね。 いつの間にか外は朝日が窓を照らし 新品の淡いピンクのカーテンを キラキラ光らせていた。
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