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お風呂上がり、リビングの ソファにひっくり返って クッションを抱きしめて ぼーっとしていると、 逆さまの顔がにょきっと 視界に割り込んできた。 「…どっちにしろ、 勉強なんか手に 付かないんじゃん」 祐希は呆れたように言って、 アイスのカップを わたしのおでこにくっつけた。 「つめたっ。 …もう、冷たいよぉ、ゆうたん」 「その呼び方、止めろって 言ってるだろっ」 小学校低学年ころまでの 通称で呼ぶと、祐希は 怒って顔を引っ込めた。 「上機嫌すぎだよ、バカ姉」 身体を起こし、 ソファの背もたれに顔を乗せ、 ダイニングテーブルの方に 視線を送る。 祐希は知らん顔で椅子に腰かけ、 スプーンでバニラアイスを 食べ始めた。
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