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『バッハだよバッハ!!
…嘘みたい…信じらんない…』
――そう。
映っていたのは、あの、
バッハ頭の警備員だった。
見慣れた警備用制服を着たまま、
素直にパトカーへと乗り込んで行く。
信じられない思いでは
あったけれど、…反面、
頭の冷静な部分では納得していた。
なぜ、犯人が防犯カメラに
写っていなかったのか。
カメラの位置や映る範囲を
熟知していた
彼の犯行だったとすれば、
全てのつじつまが合う。
…だけど…。
「…どうして放火なんて…」
わたしの声は、震えていた。
「だって…この人、
…普通の人だったじゃない…。
いつも、真面目に仕事して…」
『それがさ』
彩加はため息まじりに言った。
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