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『さっき、動機についても
キャスターの人が
説明してたんだけど、
――なんかね、半年くらい前から、
再契約はしないって
うちの学校から
言われてたんだって。
経費削減で、今後、
警備員は置かない事にするって
決まってたらしくてさ。
この人、年齢も年齢だから、
警備会社から同じ条件の
仕事先を紹介してもらうことが
出来なかったみたいなの。
それで、物騒な放火事件を起こせば、
引き続き雇ってもらえるって
思ったらしい』
「そんな…」
わたしはそれきり、絶句した。
いつも、校内を見回っていた
彼の姿が浮かぶ。
身近に犯人がいた事への恐怖心も、
確かに感じたけれど、
いつも見回り、守って来た校内に、
自ら火を放たなければならなかった
彼の心の内を考えると、
なんだかとても、絶望的な……
悲しい気持ちになった。
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